亡き須藤康花さんの画業回顧展 松本市美術館で9日開幕

生涯にわたる闘病の末、30歳の若さで亡くなった画家・須藤康花さん(1978~2009)の大規模回顧展「須藤康花~光と闇の記憶~」のオープニング式典と内覧会が8日、会場となる松本市美術館であった。父・正親さん(82)があいさつし、9日の開幕を前に「彼女が発したメッセージを受け取ってもらえれば」と願った。
約20年の創作活動で残した膨大な作品から油彩、水彩、銅版など約200点を展示。穏やかだった幼少期や麻績村で過ごした晩年の作品の一方で、献身的に看病してくれた母の死への贖罪や自分の死期を意識し葛藤を抱えながら描いた作品など、テーマ別の8章に分けている。最終章は、自分自身に重ねて洞窟から見いだしたわずかな光を表す銅版画と詩が真っ白な空間に並び、画家の思いを体感できる趣向となっている。
幼少期に発症した難病や母の死といった苦難に向き合いながら希望を求めて打ち込んだ画業の全容を、心の内に迫る詩とともに紹介する。担当学芸員の渋田見彰さんは「30歳でここまでの境地はすごいこと。作品を一堂に展示することで見えてくる像があるはず」と話す。
回顧展は松本市美術館が主催し、市民タイムスなどが共催する。会期は来年3月24日まで。2年前の「松本まちなかアートプロジェクト」で松本パルコに作品が展示された際の反響を踏まえ企画された。