政治・経済

地域企業の冬のボーナス 充実の動き

社員の生活を支えるため物価高騰の臨時手当を支給するアカダプレーティングの工場

 民間企業が、冬季賞与(ボーナス)の支給時期を迎えた。物価高が続いており、従業員の生活を支えるために手当を充実させるところがある。多くの業種で人手不足が深刻となる中、安心して働くことができる環境づくりが企業経営の大きなテーマになっている。

 金属表面処理のアカダプレーティング(松本市神林)は今年、冬季賞与に合わせて物価高を念頭に臨時手当を支給する。支給額は今回と来春の賞与時の支給を合わせて10万円。人手不足の中、若い人へのアピールにもなればと、年齢に限らず金額を一律にした。赤田哲彌会長は「みんなで頑張ってよい製品をより早く提供することで利益を出す会社にしていきたい」と話す。
 温泉宿泊施設・明神館などを運営する扉ホールディングス(同市深志1)は今月末、インフレ臨時手当を支給する。正社員は5万円、社会保険加入のパート従業員などにも1万円を出す。夏からはガソリン高騰への対策として、通勤手当を平均1000円ほど増額して従業員の生活を支える。
 松本倉庫(山形村)はこの数十年、業績が悪い時も基準を変えず、ボーナスの支給を続けている。過去には借り入れをして支給したこともあった。今冬の追加分の臨時手当はないものの、同社は「人手不足の中、会社で長く活躍してもらうことも大切になっている。賞与が安定していることは、離職率の低下につながっている」とする。
 民間信用調査機関・帝国データバンクは6日、全国の企業を対象にした冬季賞与の動向調査をまとめた。支給額が前年から増加する企業の割合は24.1%。観光関連業で多かった。賞与がない企業は12.2%で、服飾品小売、飲食店などで目立っている。