地域の話題

まちなか図書館関心高く 松本パルコ後利用 街の回遊生み出せるか

図書館シンポジウムに集まった大勢の参加者。「まちなか図書館」への関心が高まっている

 令和7年2月末で閉店する松本パルコ(松本市中央1)の後利用の一案として浮上している「まちなか図書館」に関心が高まっている。松本市が公共複合施設として借り上げる上層階に配置する方針で、にぎわいや交流を生み出す新スタイルの図書館を構想する。ただ、図書館で大勢の集客を見込めるのか懐疑的な見方もある。他にない魅力をどうつくり、駐車場がない状況にどう対処するかが成功の鍵となりそうだ。

 中央図書館で先週開かれた図書館シンポジウムには、定員いっぱいの約70人が集まった。本の貸し出しをせずに年間約100万人が来館する札幌市図書・情報館の事例が紹介され、市民ニーズに応じたテーマ別に本を配架し、司書による調査・相談支援を充実させた課題解決型の運営についての話に熱心に耳を傾けた。
 パルコ上層階の「まちなか図書館」の具体像は未定だが、書庫に割けるスペースは限られている。臥雲義尚市長は中央図書館の機能分館として「図書館という言葉の枠を超えた、街の回遊につながるものを作り上げたい」と話す。市は札幌を含む全国の先進事例を参考に、さまざまな情報を求める多世代の人が滞留する憩いの場づくりを検討するとみられる。
 ただ、図書館の利用登録者は現状で市民の2割程度・約4万7500人にとどまる。市民アンケートによると、充実が必要な施設として駐車場を挙げる声が最も多く、車で中央図書館にアクセスする子育て世帯からは「パルコ近くの立体駐車場に車を止め、ベビーカーを押して道路を渡るのは手間」との消極的な声も聞かれる。
 市は公共交通の利用を促すが、自家用車から電車やバスへの乗り換えがどこまで進むのかは見通せない。期待は大きい一方、低層階に入る商業施設との相乗効果をどう生むのかなど、さまざまな課題がのしかかっている。