山形サイレン賛否両論
山形村は1日、存廃を検討している1日2回のサイレンを鳴らす時間を、これまでの36秒間から24秒間に短縮した。70年以上続くサイレンを巡っては、必要性を疑問視して見直しを求める声や、生活の一部になっているとして継続を求める意見などさまざまな声が寄せられている。村は短縮により、サイレンによる影響の軽減を図る考えで、村民の反応を見ながら今月中にも存続か廃止かの方針を示す予定だ。
サイレンは午前11時半と午後5時に村役場庁舎上に設置されたスピーカーから鳴り響く。風向きにもよるが村全域で聞こえ、農業立村の村で外で作業する農家従事者に時間を知らせる目的などで長く親しまれてきた。子供たちの帰宅の目安として参考にしているという声も幅広い世代から聞かれる。1日、畑でリンゴの収穫を進めた笹川和祐さん(67)=小坂=は「作業に追われていると時計を見ずにいることも多く、サイレンは目安になる。農村の風物詩だと思う」と話した。
一方、近年は農業従事者の減少や移住者増を背景に必要性を疑問視する声や「うるさい」と見直しを求める声があり、村が今夏に存廃の検討を開始。検討を明らかにして以降、村民から継続を願う声が多く寄せられた。村は当初「必要がなければ廃止」と考えていたが、想像以上に残してほしいとの声があったという。
村役場周辺(半径約500メートル)では音量が大きく響き、村が村役場駐車場で測定した音の大きさは95~115デシベルで騒音レベルに達した。役場から離れた場所ではうるさく感じず、存廃を「どちらでもいい」とする声も聞こえ、温度差も見られる。
本庄利昭村長は「これほど反響があるとは思っていなかった。長く生活と共にあったことが郷愁や村の特色を醸成した面がある」とし「村の判断を理解してもらえるよう説明したい」とする。