政治・経済

山形サイレン継続方針 本庄村長「生活の一部として役割」

村役場に設置されているサイレン用のスピーカー

 山形村の本庄利昭村長は14日、存廃を検討していた1日2回(午前11時半と午後5時)のサイレンを今後も継続する方針を示した。サイレンを巡っては、住民から賛否両論の声が寄せられ、村が今夏から検討を重ねてきた。本庄村長は継続の理由を「騒音と感じる人がいる一方で、サイレンが生活のリズムであり音の風物詩と捉える人もいる。多様な声を聞き、生活の一部として役割を果たしていると考えた」と説明した。

 村議会12月定例会最終日の閉会あいさつで表明した。音のうるささなどから廃止を求める声に対しては「村の個性の一つとして理解してほしい」とした。鳴らす時間は従来の36秒間から24秒間に短縮して継続する。短縮化は、うるさく感じる人へ配慮し、会議の中断といった音による影響の軽減が目的だ。
 サイレンは村役場のスピーカーから鳴り、戦後間もないころから70年以上続く。農業が盛んな村のため、外で作業する農業従事者らに時間を知らせる時報の役割を担ってきた。
 音の特徴から村民には「ボー」と呼ばれて親しまれ、子供たちに帰宅を促す合図や、草刈りなど家庭で行う外作業の目安として活用してきたという声も多く聞かれる。村で生まれ育った50代女性は「なければないで済むと思うけれど、なくなってしまうのは寂しい。昔から聞いてきて自然と生活の一部になり、山形の文化にもなっているんだと思う」と話した。農業の60代男性は「夏場などは夕方のサイレンを聞くともうひと頑張りしようと思う。近くで聞くうるささや、慣習の変化の必要性は感じるが、サイレンは農村の風物詩では」とする。
 ただ、現在のスピーカー機材は設置から約35年がたち将来的に更新が必要になる。本庄村長は「その時期には再度、存廃の議論が必要だと思う」とした。

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