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サンふじ出荷量大幅減 凍霜害や猛暑で打撃

日焼けや傷がある「訳あり」のサンふじ。今年は量が多い(JA松本ハイランド果実共選所)

 中信地区の晩成リンゴの主力品種・サンふじの出荷量が、凍霜害や猛暑、ひょう害などの影響で落ち込んでいる。JA松本ハイランドは例年の6~7割、JAあづみは6割程度にとどまる見通しで、贈答用に適した等級の高いリンゴの割合も少ない。地域差はあるものの、全体的に不作といえそうだ。

 「40年くらい栽培しているが、こんなに悪い年はない」。JAあづみ管内の松本市梓川梓でサンふじを収穫していた農家の男性(66)の表情は浮かない。春先の凍霜害で下枝に実が付かず、夏は高温による変色「日焼け」などの劣化が発生、10月には強風による枝擦れで傷が付いた。収量は例年の半分に届くかどうかだという。
 関西や九州方面に出荷するJA松本ハイランドによると、今年の当初計画量は15万4000ダース(1ケース当たり10キロ)だが、見込みは良くて6~7割。豊作だった前年の半分弱、凍霜害で大打撃を受けた令和3年度を下回る数量で、果実課の平林智幸課長は「近年では最も悪い」と話す。
 果樹地帯の今井地区の農業関係者からは「温暖なせいか傷が付いた後の腐りが早い」「贈答用の注文を断っている農家が大勢いる」との声が聞かれる。同JAは傷や日焼けがある「訳あり」のリンゴも集荷し、廉価で流通させている。平林課長は「見た目は悪くても味はいいので、自家用などに積極的に消費してほしい」と話している。