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狩猟の今 ジビエから知る 木曽町中の生徒 調理実習 熟練猟師 実情伝える

鹿肉の塊を食べやすい大きさに切っていく生徒

 木曽町の木曽町中学校1年生49人が14日、総合的な学習の時間を利用し、鹿肉を使ったジビエ(野生鳥獣肉)料理の調理実習を同校調理室でした。狩猟歴40年以上のベテラン猟師で、ジビエ処理加工施設を上松町内で営む百田健二郎さん(76)=上松町荻原=が提供した鹿肉を使ってカツレツを作った。鹿などによる鳥獣被害が木曽郡内で後を絶たない現状にも理解を深めた。

 生徒たちは、鹿肉の塊を食べやすい大きさに切ってから塩こしょうをまぶし、小麦粉・卵・パン粉で衣をつけてフライパンで揚げた。百田さんから仕入れた熊肉でコース料理を提供したことがある塩尻市奈良井の宿泊施設「BYAKU Narai(ビャクナライ)」の料理長・友森隆司さん(45)らが協力し、肉の切り方や盛り付け方などを教えた。
 揚げたてを味わった松尾丈さん(12)は「硬いイメージがあったけれど、筋っぽくなく軟らかくておいしかった。赤身の肉でさっぱり食べられた」と話した。
 百田さんは生徒の質問に答えて、ツキノワグマによるヒノキの皮はぎ被害や鹿による農作物の食害などに触れた。「狩猟人口も30年前に比べて1割近くになってしまった。もう少し大きくなったら狩猟に興味を示してもらえたらうれしい。まずはジビエを食べておいしさを知ってもらいたい」と願った。実習を終えた横山凌和さん(13)は「地域をより良くしたいという気持ちで狩猟仲間の輪を広げて活動していることに感動した。狩猟に興味を持ったけれど、大変さも伝わった」と話していた。