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築120年古民家 千葉へ移築 安曇野市の小林さん方 鉄砲梁・牛梁が特徴

鉄砲梁など特徴的な構造がむき出しになった解体中の古民家

 安曇野市豊科高家の小林工務店代表・小林廣高さん(74)方の古民家を、千葉県佐倉市へ住居用に移築する解体工事が進んでいる。建物は、小林さんが、古民家再生に志を持つ大工として40年前、新潟県から工務店兼自宅敷地内に移築した当時築80年の木造平屋。築120年を数える古民家は、新たな所有者の元で歴史をつむぐ。


 根元が曲がった木を天井の構造に生かした「鉄砲梁」や、屋根中央を貫く立派な「牛梁」が特徴的だ。小林さんが知人の紹介で購入し、新潟県内の豪雪地域から移築後、古民家の再生例として公開するショールームや、取引先との打ち合わせなどに活用してきた。
 年齢に伴う先々の管理・所有負担を見越し、5年かけ買い手を探してきた。特定非営利活動法人・日本民家再生協会に加盟する同志で、一級建築士の髙野量平さん(57)=千葉県印西市=を介し、伝統工法を用いた家造りに関心のあった髙野さんの顧客、60代夫婦との縁を得た。小林さんは「解体処分するには到底忍びなく、継承してくれる方があり、眠れないほどうれしい」と喜ぶ。
 設計を担う髙野さんや現地で施工を手掛ける根本建設(同県八街市)の大工らと、施主の樋口浩二郎さん(62)が1~2日にかけて工事を視察、見学した。樋口さんは「長く家を支えてきた木材の重厚さに圧倒される。日本の気候風土に適した家をできたら子へと引き継ぎたい」と期待した。
 構造材などを運搬後、年明けに着工する。髙野さんは「伝統的な構造に伴う動線上の不便も魅力に変えながら、施主の生活に合った住まいに再生したい」と話している。

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