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ろう野球の日本代表 世界大会に向け松本大で強化合宿

ろう野球の日本代表チームと松本大が熱戦を繰り広げたオープン戦

 聴覚に障害がある人らでつくる日本ろう野球協会の硬式日本代表チームは29日、松本市新村の松本大学野球場で、松本大硬式野球部とのオープン戦を行った。松本大で27~29日の3日間行った強化合宿の締めくくりで、試合を通じて来年2月に台湾で開かれるろう野球の世界大会へ士気を高めた。

 ろう野球のルールは一般的な硬式野球と同じ。オープン戦は7回まで3―3の接戦となった。日本代表チームは、守備の乱れから8回に一挙6点を奪われ3-9で敗れるも、最後まで粘り強く戦った。
 観客席には「生のろう野球が見たい」と愛知県から訪れた難聴の兄弟がいた。ともに地元の軟式野球チームに所属しており、兄の小学校6年生・髙岡大葵君(12)は日本代表の姿に「格好よかった」と目を輝かせ、弟の小学校5年生・雄紀君(11)は「中日ドラゴンズの投手みたいな選手になりたい」と夢を語った。
 日本代表チームの野呂大樹監督と松本大の清野友二監督が新潟アルビレックスBCのチームメートだった縁で、松本での強化合宿が実現。日本代表チームには全国から20~30代の社会人や大学生計22人が参加し、ミーティングやグラウンドを使った練習に取り組んだ。
 ろう野球は、同じチーム内でも選手ごとに聞こえづらさの程度や手話の習得度が異なり、身ぶり手ぶりや読唇しやすい話し方といった相手の立場に立ったコミュニケーションが重要になる。野呂監督は「合宿でたくさんコミュニケーションが取れ、団結力が高まった。世界一を目指す」と力を込めた。清野監督は「ろう野球選手の周りを見る力や察知する力に刺激を受けた。今後も交流を続けていきたい」と話していた。

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