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天守保存の市川量造の功績振り返る 「松本城の日」制定記念で講演会

軽妙な語り口で講演した市川量一さん

 「国宝松本城を世界遺産に」推進実行委員会(会長・臥雲義尚松本市長)は22日、松本市大手3の新市立博物館で「松本城の日」(11月10日)制定記念講演会を開いた。明治時代に松本城の天守閣保存や産業振興に尽力した市川量造の功績を、ひ孫の市川量一さん(80)=東京都=らが振り返り、世界遺産登録に向けた機運を高めた。

 68団体約100人が詰めかけ、元松本城管理事務所研究専門員の青木教司さん(81)と市川さんが講演した。
 青木さんは、市川量造らが競売にかけられた松本城天守閣保存の資金集めなどのために開催した松本博覧会の時代背景などを解説した。量造が若き日に横浜で外国の文物に触れたことや、廃仏毀釈の嵐が吹き荒れる中で「旧物の破壊からは何も生まれない。旧物の長所を生かし短所を改めることが肝要」と体験的に見抜いていたことを指摘した。
 市川さんは量造の生涯を年齢ごとにたどって紹介した。量造の松本の発展を第一に考える「松本魂」は今も受け継がれていると語り、「市民が守っている城はまれ。世界遺産登録に向けて協力してもらえれば」と呼び掛けていた。