難病を押して帰郷し旧友と再会 入山辺出身の作家・谷川彰英さん

松本市入山辺出身の作家で筑波大学名誉教授の谷川彰英さん(78)=千葉市=を囲む、山辺中学校3年2組の同窓会「白樺会」が22日、同市里山辺の美ケ原温泉・翔峰で開かれた。難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を押しての5年ぶりの帰郷で、旧友たちの歌う「ふるさと」に涙を流した。
昭和36(1961)年に卒業した同級生12人のほか、松本で交流のあった友人らも参加した。谷川さんは体が動かず、声も出ないため、妻の憲子さん(77)が原稿を代読した。谷川さんはその中で「おそらく最後の帰郷となるでしょう」と述べ、「松本滞在中に常念を見たい、美ケ原も見たい。松本城も一目見たい。そして締めはやっぱりそばかな。ありがとう!私を育んでくれた故郷松本...。心を込めて」とつづった。
幹事の浜崎和子さん(78)のフルート演奏に合わせて校歌を合唱し、同級生が一人一人思い出を語ると、谷川さんは時折わずかに顔をほころばせてわき出る喜びを表した。寄せ書きの色紙なども贈られ、最後は憲子さんが谷川さんの視線や唇の動きから言葉を読み取り、「これまでの僕を支えてくれたのは中学の同級生のみんな」と感謝した。
白樺会は同級生が就職したころから毎年開いていて、浜崎さんは「谷川さんに会うことができて良かった」と話していた。