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フレイル外来健康後押し 松本市立病院 受診者の半数が改善

フレイル脱却に向けて体を動かす受診者

 松本市立病院(波田)は、健康と介護状態の中間となる「フレイル」を予防するための「フレイル外来」に力を入れている。昨年3月に外来診療を始め、今年9月末までに61人が受診、このうち半数ほどがフレイル状態から健常に改善した。残りの半数も現状を維持し、悪化した受診者はほとんどいなかったという。市立病院は「疲れやすくなった、歩く速度が遅くなった、物忘れを感じるなどの症状がある人は早めの受診を」と呼び掛けている。

 「フレイル」は「虚弱さ」や「壊れやすさ」を意味し、加齢や病気などで心身の活力が低下し介護になる可能性が高い状態を指す。市立病院は初診で身体機能検査や筋肉量測定、血液や骨密度の検査などをして受診者の状態を把握、状態に応じて個別のリハビリや薬や栄養の指導、口腔ケアなどを行い、フレイル状態の改善を図る。
 フレイル外来にはこれまで、男性20人、女性41人が受診した。年齢層は61歳~91歳で、平均年齢は79歳だった。担当する理学療法士の中村慶佑さん(38)は「院内の各科が連携することで、さまざまな症状に対応できるのが当院の特長」と話す。
 膝の痛みなどを訴えて昨年11月から通っている波田地区の女性(86)は「1年近く通ったことで歩けるようになり、おなかの脂肪も減った」と効果を口にする。深澤峰子さん(90)=波田=は「若い先生に指導してもらえ、話をすることができて元気が出る」と笑顔を見せる。
 毎月第1、3水曜日に初診を受け付けている。初診の費用は約2000~6000円で、2時間ほどの診察時間となる。整形外科の清水政幸医師(50)は「体の衰えを感じればフレイルの始まり。『年齢のせい』と諦めずに受診を」と呼び掛けている。