教育・子育て

腕時計を困窮家庭の子供に 学習支援センター・実帰舎 労組協力で不要品再生

「笠地蔵プロジェクト」に取り組む家田さん(右)と三澤さん

 広域通信制高校サポート校の学習支援センター・実帰舎(塩尻市)が本年度、電池切れの腕時計を収集・再生し、経済的に苦しい家庭の子供に贈る「笠地蔵プロジェクト」を始めた。県内でこども食堂の運営・支援をしているNPO法人ホットライン信州(松本市)に28日に託し、同法人を通して一人親家庭の子供に贈る。

 今年春に金属、機械などの労組でつくるJAM甲信(諏訪郡下諏訪町)と連合長野松本広域協議会に電池切れの腕時計収集の協力を依頼した。9月下旬までに組合員から約120本が集まった。実帰舎の会計監事・三澤昭彦さん(79)は「活動にご理解をいただき、快くご賛同いただいた。たくさん集まりありがたい」と感謝する。
 実帰舎の理事長・家田典和さん(63)が集まった腕時計のうち、再生可能な60本の電池を交換した。家田さんは以前、セイコーエプソンに勤務し、腕時計事業の先輩社員から電池交換の技術を学んだという。
 腕時計を再生し、一人親家庭の子供を支援する取り組みは、平成31(2019)年の実帰舎設立前から構想していた。家田さんは「経済的な不安を抱える生活からの脱却には、何よりも勉強が大切。資格試験、入学試験などは時間との勝負になる。時間を大切にしてほしい」と願う。初年度は中信地区のみの活動となったが、今後は「県全体に広げていきたい」と話している。