地域の話題

仁王像の下で元気な泣き声 波田で4年ぶり「股くぐり祭」

仁王像の股下をくぐらされて大泣きする幼児

 松本市波田上波田の仁王門阿弥陀堂で14日、県宝・木像金剛力士像の股の下を幼い子供がくぐる伝統行事「仁王尊股くぐり祭」が2日間の日程で始まった。新型コロナウイルス禍で恒例の春の開催は中止したものの、季節を秋に移して4年ぶりに再開し、子供たちの元気な泣き声と家族の笑顔が広がった。

 鎌倉時代に作られた仁王像で、かつてはしかが流行した際、像の股下をくぐった子供のはしかが軽く済んだ故事に由来する。
 高さが256センチもある恐ろしい形相をした阿形の股下の隙間を、訳も分からずくぐらされた幼児は大泣き。上波田高齢者クラブの会員たちが「頑張れ、頑張れ」「上手、上手」と声を掛け、家族が笑いながら写真を撮っていた。奈良県から松本市内の実家に帰省して初めて参加した宮本美沙子さん(33)は、1歳3カ月の長女の侑奈ちゃんに股をくぐらせ、「これからも元気に育ってほしい」と願っていた。
 実行委員長を務める同クラブ会長の浅田信一郎さん(78)は「4年もやらないと継承できなくなってしまう。コロナ対応が(季節性インフルエンザと同じ)5類に移行したので秋にやることにしたが、早くから多くの家族が来てくれてうれしい」と目を細めていた。