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新旧住民で獅子舞継承 4年ぶりに生坂・白日常会が秋祭り

白日公民館で披露された獅子舞

 生坂村北陸郷の白日公民館で7日夜、白日常会の秋祭りが4年ぶりに開かれた。11戸の小さな集落で、移住者たちの意欲もあって獅子舞などの伝統芸能が引き継がれ、住民たちが秋の夜のひとときを楽しんだ。

 白日公民館は犀川左岸の山中にあり、漆黒の闇の中にちょうちんの明かりが浮かび上がった。昔はお宮に担いで運んだという神楽が外に据えられ、祭り連の聖望連の8人が横笛や太鼓の道中ばやしを奏でた。その後は館内に神楽を運び込み、獅子舞の「舞い出し」と「拝軸の舞い」「食い獅子の舞い」を披露した。
 聖望連の奥野祐二連長(63)によると、旧陸郷村時代から続いている祭りで、かつては村内の白駒社まで神楽を運び獅子舞を奉納していた。しかし分村で白駒社が池田町地籍となり、分社ができなかったため、公民館で行うようになった。獅子舞は一時途絶えたこともあったが、住民の熱意で引き継がれてきた。新型コロナウイルス禍で3年間中止となり存続が危ぶまれたが、「移住者4人が加わり、再開がかなった」と喜ぶ。
 北陸郷出身で、東京からUターンで白日地区に移住し、連に入った勝家功人さん(40)は「緊張したけれど楽しかった」と汗を拭った。村内で獅子舞が存続しているのは白日常会だけで、獅子の頭を担った石川大貴さん(34)は「父が舞うのを子供の頃から見て憧れていた。コロナの前に一度踊っただけだったので一からやり直す感じだった」と話し、「世の中にはコロナ禍で途切れた伝統行事が多くあると思うが、ぜひ続けてほしい」と願っていた。