政治・経済

松くい虫対応 個人補助メニュー新設 塩尻市、枯損木伐倒駆除対象に

市内で伐倒駆除された被害木

 塩尻市内での松くい虫被害拡大を受け、市は松くい虫等被害予防事業補助金制度のメニューを拡大し、市民個人が枯損木を伐倒駆除する費用を補助する方針だ。行政だけでは処理が追いつかない状況で、市民に協力してもらうことで被害対応を迅速化する。本年度一般会計補正予算案に関連の1440万円を追加し、20日の市議会予算決算委員会で可決された。

 松くい虫被害木を所有・管理する個人や団体が、自らまたは事業者に委託して伐倒処理と薫蒸・破砕処理する場合を対象とする。補助率は100%で、1立方メートル当たり4万円を上限に補助金を支給する。立木所有者による自発的な処理を促し、市の業務負担軽減、林業人材の育成・掘り起こしが期待できるとみる。
 補正予算案は、個人向けの1440万円のほかに、市としての枯損木処理委託料3920万円も追加し、林業被害対策事業の経費を計5360万円増額。年間900本の被害木処理を想定する。補助拡充で2割(180本)が市民による処理、8割が市の委託処理になると見通す。市の担当者は「市民の皆さんにご協力いただきたい」と話す。
 市農林課によると、松くい虫被害は7月末時点で前年同期比1・5倍の418本で、被害が急速に拡大している。一方、令和3年と4年度は被害を覚知した本数のうち処理したのは7割にとどまる。
 市内では平成27(2015)年から松くい虫被害が本格化し、28年に設けた補助金制度では山林にある木を所有、あるいは管理する個人・団体を対象に、感染症の病原体となる線虫の侵入防止の樹幹注入剤や散布薬剤など予防薬剤購入費の補助をしてきた。本年度当初予算では補助金40万円を計上していた。