塩尻の関澤初夫さん 宝剣を西福寺に献納し文書菩薩とセットに

塩尻市大門泉町の日本刀収集家で戸山流居合道の県連盟名誉会長・関澤初夫さん(92)はこのほど、同市下西条の西福寺(青山裕文住職)に宝剣を献納した。関澤さんは檀信徒で、父・清人さん(故人)が生前、同寺に文殊菩薩像を寄進したが、右手に剣を持っていない像だったため、「人生の最後に宝剣を贈り、(像と剣の)セットになるようにしたいと考えた」と語る。今月下旬に寺で公開される。
宝剣は甲府市の刀匠・伊藤重光さんの作で、長さ1メートル(刃渡り70センチ)の直刀だ。名称は「般若の智劍吹毛劍」。伊藤さんは、大相撲・二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の横綱土俵入りの際に用いられた太刀を製作したことでも知られる。関澤さんは「これまで30本ほどの日本刀を打たせ、育ててきた」と話す。西福寺は甲府市とも縁があるという。宝剣の柄(手で握る部分)は金でできており、さやは漆で仕上げた。
関澤さんによると、父・清人さんは病で脚を切断するという不幸に見舞われたが、その際に「西福寺にお世話になった」と振り返る。その後、清人さんは文殊菩薩像を寺に寄進したという。関澤さんは「『宝剣在手裏(宝剣手裏に在り)』という言葉がある。宝剣とは文殊の知恵の例え。人は誰でも煩悩や執着心を断つ剣(知恵)を持っており、この力を生かすことが大切だと思う」と話している。
20~26日午前9時~午後5時に西福寺で「秋彼岸の木彫、仏像展」(入場無料)があり、宝剣を特別展示する。宝剣のほか、小川大系、太田南海などの作品が展示される。問い合わせは西福寺(電話0263・52・0104)へ。