地域の話題

自分を見つめる写真展に 松本の19歳・黒岩さんが初企画

写真展を開く黒岩さんと作品

 写真・映像を学ぶため大学進学を目指している黒岩航平さん(19)=松本市島内=が初めての写真展を開く。昨年から今年にかけて報道写真家の作品展運営や、東日本大震災被災地のフィールドワークに参加し、自身の価値観が揺さぶられた。自分は何を撮りたいのか、自分のあり方は―。個展を通じて自身を見つめ、現在地を探る。

 松本市大手1のマツモトアートセンターで9~11日に計23点を展示する。クモの巣と太陽を重ねた作品は、ピントをあえて外して、自分の葛藤と自分の曖昧さを表現。作品展のチラシに採用した。東北の被災地、電車、街の写真なども飾る。
 黒岩さんが写真を始めたのは3年前。友人に誘われ鉄道写真を撮るようになった。それが、引きこもりや不登校から立ち直ることにつながった。「写真が自分を外に出してくれた。好きなものがきっかけで抜け出せた」と振り返る。
 昨年は市内であった報道写真家・樋口健二さんの作品展で、実行委員会のメンバーとなり運営に携わった。原発被ばく労働者の写真に衝撃を受け「現実を感じさせてくれる写真」と受け止めた。自らが現実を素通りしていたことにも気づいた。今年7月には仙台市や宮城県石巻市、福島県浪江町を巡った。現地の人の声を聴き、起こったことの重大さに向き合った。
 全日制高校から移った通信制高校を今春卒業した。現在は市内の塾「Tera Klaso(テラ・クラッソ)」で受験に備える。黒岩さんは「自分の生き方や、自分にとっての写真の意味が分からなくなったが、その分からなさを写真展で表現できないかと思った。いろいろな人に見てもらえれば」と話している。
 展示は午後1~7時。入場無料。問い合わせは黒岩さん(電話070・2238・8582)へ。