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市民合唱団が思い熱く OMFオケ公演に7年ぶり出演

声楽家の井手守さん(右)と専門学校生の成川夕奈さん

 松本市で19日に開幕する国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)のオーケストラコンサートAプログラム(25、27日)に、公募の市民合唱団が7年ぶりに出演する。厳しい選抜を通った団員たちは、それぞれ熱い思いを胸に練習を重ねている。子供の頃から出演しているメンバー2人に思い出や意気込みを聞いた。

 声楽家の井手守さん(42)=塩尻市広丘堅石=は平成5(1993)年、小学校6年生の時、SKF松本児童合唱団員として、オペラ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」で子供の王役に抜擢されて以来、OMF合唱団としてなど、何度もOMFの舞台に立ってきた。
 子供の王役では花道を歩き、指揮をする総監督の小澤征爾さんと目が合った。練習を通して、小澤さんの音楽に対する情熱にも触れた。「音楽ってこんなに楽しいものだということを教えてくださった」と思いを語る。
 尚美学園大学音楽表現学科(埼玉県)へ進学し、卒業後はバリトン歌手として活動する。新型コロナウイルス禍で活動できないことも経験したが、「やっぱり歌が好きだった」と気付くこともできた。
 本番では普段通りのパフォーマンスを心掛ける。「小学生だったあの時はしなかったのに、大人になるとこんなに緊張するのかというくらい緊張する。平常心を忘れないように」と静かに意気込む。
 専門学校生の成川夕奈さん(21)=松本市浅間温泉3=は、4回目の出演となる。SK松本ジュニア合唱団に所属していた小学校6年生当時、小澤征爾さんが指揮するオペラ「こどもと魔法」に参加。会場が一体となる興奮の渦の中「松本にもこんなすてきな世界があるんだ」と感動した。
 中学校時代も2回、同じ中学生が招待される「子どものためのオペラ」に出演したが、以降は子役を卒業しOMFから遠ざかった。病気療養のため昨年休学したことが転機となり、声楽を学び始め、OMFのボランティアに参加し、合唱団への応募につながった。
 実力者ぞろいの団員に圧倒されたり、難曲に弱音を吐いたりもしたが、声楽の師の支えで自信をつけてきた。最初の舞台の主演で今回独唱する歌手イザベル・レナードさんや、当時も出演したベテラン団員との再共演が感慨深い。「歌を続け、時を経てまた出られるのは幸せ。うれしい気持ちを歌に乗せられたら」と本番を楽しみにしている。