連載・特集

2023.8.30 みすず野

 栃木の県都・宇都宮はギョーザで名高い。雷が多いため古くから「雷都」と呼ばれていると、このたび初めて知った。黒と黄色の車両は稲妻のイメージという。次世代型路面電車(LRT)がいよいよ14.6キロの軌道を滑りだした◆地元紙・下野新聞の号外に「構想30年」と見出しが躍る。路面電車の開業は国内で75年ぶり、全線新設のLRTは初(同紙)―とあって鉄道ファンが押し寄せた。にわか勉強でいけないが、公共交通網の再構築も担う。住民や訪れた人が利用しやすく、全国の地方都市のモデルとなるか。今後も注目を集めそうだ◆小紙は創刊50周年の一昨年に連載企画で、松本の街にLRTが走る近未来を描いた。40年にわたって市民に親しまれたチンチン電車を下敷きにしている。かつて車社会が邪魔者扱いした電車を時代に合わせて復活させ、地域の活力につなげようとの投げ掛けだった◆宇都宮でもさまざま課題があるという。当地への導入を探るとしたら、まちづくりを中心市街地だけでなく広域で捉える視野が求められよう。浅間線の廃止から来年で60年。いつかの日か、まな板の上に載せられることを期待したい。