あがたの森の「シンボル」ケヤキ1本伐採 虫食いで倒れる危険考慮

松本市あがたの森公園内の"ケヤキの森"で18日、樹齢百数十年と推定されるケヤキの大木1本が伐採された。ケヤキの森はヒマラヤスギ並木と並ぶ同公園のシンボルだが、園内の東西通路に近い大木の樹勢が近年著しく衰え、危険を指摘する声が相次いでいた。
該当のケヤキは高さ約20㍍、幹周り3.2㍍で表面が変色し、樹皮が剥がれ続けていた。市公園緑地課によると虫食いが顕著で内部が腐りかけ、放置すると枯死して倒れる危険があったという。公園利用者や住民からも懸念の声が寄せられていた。
専門業者がクレーンや高所作業車を運び込み、半日をかけて伐採した。作業員がチェーンソーを使って高い場所から玉切りに幹を切り分けると、一帯には木くずとともに木の香りが広がっていた。
ケヤキの森は旧制松本高等学校の新設に伴い大正時代に移された県の宮社跡に位置し、現在も十数本が立つ。中心には「われらの青春ここにありき」と刻まれた旧制松高跡の碑も立ち、森が松高生たちにも親しまれたであろう往時がしのばれる。
朝から伐採を見守っていた、地元の県町北町会公民館長・上條恒嗣さん(74)は「景観や歴史を考えると非常に寂しく残念だが、危機管理の面では安堵した。事故が起きてからでは取り返しがつかない」と複雑な心境をのぞかせていた。