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松本・平和の森 次代へ整備 NPOと若者グループが草刈りに汗

草刈りに汗を流す学生たち

 生きた証しとして広葉樹の木を植える活動を通して、里山再生に取り組むNPO法人・いのちと平和の森(菅谷昭会長)は16日、松本大学(松本市新村)の平和創造研究会と市内を中心に活動する大学生と高校生のグループ・松本ユース平和ネットワークの学生たちと一緒に、同市島内山田の森で草刈りをした。これまでの活動はメンバー中心だったが、次世代に引き継ぐとともに一般に広めていく第一歩にしたいと総勢20人で取り組んだ。

 学生たちは、医師である菅谷会長の恩師で、いのちと平和の森を構想した医師・日野原重明さん(故人)が選んだオオヤマザクラや、OMF総監督の小澤征爾さんが選んだカエデなど約80本の木の下に繁茂する下草を、鎌で丁寧に刈った。少し動くと汗がにじんでくる厳しい暑さの中で、1時間近くにわたって黙々と作業に励んだ。約4600平方メートルのうち、一部ではあるが、日が差し込む明るい森が戻ってきた。
 日野原さんは先の大戦を知る世代として、いのちと平和の森活動を通して子供たちに戦争体験を伝えていきたいと考えており、菅谷会長がその遺志を引き継いだ。同研究会の藤田達也さん(23)=総合経営研究科2年=は「若い人や市民にも森の存在を知ってもらい、平和推進も含めて活用法を探っていきたい」とし、会顧問の尻無浜博幸副学長は「これから継続的に関わりたい」と話した。
 雑木を片づけるなど整備を続け、かつて松本平を一望できた眺望を取り戻す計画だ。菅谷会長は、生きた証しを木に託す活動を「生証樹託(せいしょうじゅたく)」と名付け「広く市民に呼び掛けて里山を整備し、木を植えてみんなが憩える場所にしたい」と構想を語った。