政治・経済

路線価が回復基調に 松本地方主要6地点

松本税務署管内の最高地点となった松本駅前の「しらかば大通り」

 関東信越国税局は3日、相続税や贈与税の算定基準となる令和5年分の県内の土地の路線価(1平方メートル当たりの価格、1月1日時点)を公表した。長野税務署によると、松本税務署管内の主な6地点のうち、2地点が上昇、4地点が横ばいだった。前年は1カ所あった下落地点が横ばいになるなど、新型コロナウイルスの影響から徐々に脱しつつあることがうかがえる。

 松本税務署管内8市村の最高地点(最高路線価)は、松本駅前(松本市深志1)「しらかば大通り」で、前年と同じ20万円だった。平成30(2018)年から3年連続横ばいの後、令和3年から2年連続で下落したが、横ばいに持ち直した。
 評価に携わった茅野不動産鑑定(松本市島立)の茅野武弘不動産鑑定士は「昨年後半から『ウィズコロナ』で経済を回す方向にかじが切られ、駅前にも観光客が戻り始めるなど、回復基調になり始めている」と分析する。
 6地点のうち、上昇幅が最も大きかったのは塩尻市広丘野村の「JR広丘駅西側」で、前年比2・2%高い4万7000円となった。同地点は、前年は横ばいだったのが上昇に転じており、茅野さんは「周辺は住宅需要が多い。住宅地価格が上がり、商業地も引っ張られる形で上がっている」とみる。
 松本市中央4の「やまびこ道路 イオンモール松本東側」は前年比1・4%高い7万5000円となった。上昇が続いており、茅野さんは「イオンモールはそれだけで一つの商圏を形成している。コロナ下でも上昇していた」とする。深志2の「井上百貨店北側」はマンション、ホテルなどの土地需要が好調で「上昇まで持っていく力はないが下落もしない。様子見の状態」という。
 県内の標準宅地の平均は、下落から横ばいに転じた。算定方法が変更された平成22(2010)年より前も含めると、平成8(1996)年から下落が続いていたが、28年ぶりに下げ止まった。

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