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松本地震から丸12年 総合卸売団地が初の防災研修会

組立式トイレを説明する企業担当者

 松本市南部を震源に最大震度5強を観測した平成23(2011)年の「松本地震」から丸12年となる30日、震源に近い市総合卸売団地(松本市市場)で、45の企業でつくる運営組合が初めて防災研修会を開いた。石油やガスといったライフラインの集積地として組合員の防災意識をあらためて高め、地域住民に各企業の安全対策を知ってもらおうと周辺町会の役員らも招いた。

 総合団地内の花村産業で行った研修会では、簡易トイレの利用方法を学んだ。災害時に不可欠で、感染対策にもなる仮設トイレの設営用テントや便器、抗菌性凝固剤などを開発・販売する企業担当者が実物を見せて説明し、参加者は手に取るなどして機能を確かめた。井戸掘削・地質調査会社の技術士が松本地震に関わる活断層の解説もした。
 総合団地では主に5社がライフラインに関わる。県内の油槽所3カ所のうち二つがあり、県内の石油需要の6割を出荷している。松本地震ではオイルやガス漏れなど大きな被害はなかったものの、タンクを支える部品の一部が破損したり、石油の出荷受け入れを一時停止したりしたという。
 各企業は松本地震後、安全対策を強化した。災害時の迅速な対応のために衛星電話を導入し、石油出荷の停止を想定した訓練を取り入れた企業もある。
 田中崇喜組合長(69)は「幸い甚大な被害はなかったが一つ違えば大災害につながる。これを機に住民の皆さんに総合団地のことを知ってもらい、地域と共に安全確保を考えたい」と述べた。芳川地区町会連合会の赤羽清栄会長(72)は「企業と連携した防災も必要だと感じた。日頃から一緒に取り組んでいきたい」と話していた。