EH酒造の純米吟醸酒、アイガモが下支え 安曇野の水田でヒナ奮闘

安曇野市豊科高家のEH酒造は、水田にアイガモを放して農薬を使わずに酒米「ひとごこち」を育てるアイガモ農法を三郷地域と堀金地域の計80アールで行っている。収穫した酒米は純米吟醸酒「逢醸(あいがも)」の仕込みに使う。約20年続く取り組みで、本年度は逢醸の人気の高まりや新型コロナウイルス禍の収束に伴う需要回復などを見込んで栽培面積を拡大し、前年度の2倍の原酒2400リットルを仕込む計画だ。
14日は、三郷温の水田30アールにアイガモのヒナを放した。アイガモが動き回ることで水が濁って雑草が生えづらく、害虫を食べてくれる。ふ化して10日ほどのヒナは手のひらサイズで、水面を走るように元気に動き回っていた。
EH酒造によると、逢醸はアルコール18度の原酒で、しっかりとした味わいが特徴。贈り物や自宅用として人気があり、リピーターが多い。9月下旬から10月上旬にかけて酒米を刈り取り、来年2月ころに新酒が店頭に並ぶ。
EH酒造の吉田浩次社長(64)は「安曇野の水を使って育った安曇野の米で仕込む。(逢醸が)安曇野の宣伝にもなれば」と願い、水田に放たれるヒナを見守っていた。