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代理母馬で木曽馬繁殖を 保存会が北海道和種で初挑戦へ

北海道和種の代理母馬・福菊姫から生まれたばかりの子馬。帯広畜産大学と連携した繁殖研究の成果として、保存会の新しい挑戦を支える

 木曽馬保存会(木曽町)が7月、地元の木曽馬の里乗馬センターで、代理母として北海道和種(どさんこ)のお腹を借りた木曽馬の受精卵移植に初挑戦する。長年蓄積してきた木曽馬の雌雄の生殖に関するデータを活用し、帯広畜産大学(北海道帯広市)と連携して取り組んだ同様の取り組みの実績を生かす。

 帯広畜産大から同センターに3月末にやって来た北海道和種・福菊姫に移植する。すでに2回、木曽馬同士で交配した受精卵の移植・出産を経験している馬で、7月上旬をめどに受精卵を採取する木曽馬の準備も進めながら取り組む予定だ。
 福菊姫は昨年5月に帯広畜産大で雄の子馬・高野を生み、木曽馬の代理母馬として初めての成果につなげた。今月4日夜には、2頭目の元気な子馬を同センターで誕生させ、関係者を勇気付けた。雌の「鹿毛」で体高89㌢、体重37.5㌔。8日の放牧では、草を食べる母親の近くで元気よく跳ね回っていた。
 同センターで飼育する38頭を含め、全国に約140頭しかいない木曽馬の繁殖方法として、代理母馬を使った受精卵移植の技術が確立すれば、同じく頭数減少に直面する国内の在来馬の保存へ道筋が付けられる可能性が高まる。保存会の中川剛事務局長は「チャレンジの年になる。県内の馬の活用も含め、地域で木曽馬を守っていくことにつながればいい」と期待する。