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かやぶきの庵「ぽれぽれ庵」 筑北に完成

かやぶきの「ぽれぽれ庵」の完成を仲間とともに喜ぶ佐々田さん(前列右から3人目)

 筑北村東条八木のかやぶき職人・佐々田元さん(34)がこのほど、自宅の庭の竹林にかやぶきの庵「ぽれぽれ庵」を1年がかりで完成させた。建築作業には近隣住民や村外・国内外から友人・知人20人以上が協力。東京都出身で20代で世界を放浪後、信州に生きる道を見いだした佐々田さんは、多くの力を結集し造った庵を村内外の人たちが地域づくりに関わり合う協働のシンボルにできればと意欲を見せる。

 屋根が四方に傾斜する寄せ棟造りの木造の建て建物で、カヤ約300束をふいて造った。内部の広さは3畳(約5平方㍍)程度でいろりには旧村収蔵庫(西条)から譲渡された収蔵物の自在かぎや湯釜を備え、鍋会や茶会も楽しめそうだ。庵の名称の「ぽれぽれ(ポレポレ)」は、アフリカのスワヒリ語で「ゆっくり(行こう)」を意味するという。
 大学時代に建築や都市社会学を学んだ佐々田さんは25~28歳ごろ、アルバイトをしながら欧州や東南アジア、南北アメリカ大陸などを放浪。各国で異なる常識の違いを実感した。令和元年に長野市のかやぶき職人に弟子入りし農地付き空き屋物件に魅力を感じ筑北村に移住した。庵は修業を積んだ成果を形にしたいと考え、友人や近隣住民に手伝ってもらいながら造った。
 佐々田さんは庵の完成に「共通の目的にみんなで取り組めて楽しかった」と笑い「地域づくりや移住に関心のある人が気軽に関われる交流の場にしたい」と願った。