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安曇野日赤が6年連続の赤字 収益回復も医業費用が圧迫

昨年度の決算が報告された運営協議会

 安曇野市豊科の安曇野赤十字病院(木下修院長)は31日、同病院で開かれた運営協議会に令和4年度決算を報告した。入院患者数の増加で医業収益が大幅に伸びたが、手術に伴う材料費の増加などで医業費用がかさみ、医療事業損失が3億7381万円と6年連続の赤字となった。当期純損益は、新型コロナウイルス関連の補助金や市の助成金で4億5091万円の黒字を確保した。

 医業収益は前年度比10%増の65億5584万円と、平成29(2017)年度決算並みに回復した。救急車の積極的な受け入れ(前年度比29%増の2773人)や急性冠症候群患者の受け入れ体制強化など、経営改善の取り組みが奏功した。
 一方の医業費用も69億2965万円と大幅に伸びた。手術の増加で材料費が増えたことに加え、医療従事者の処遇改善手当の支給が始まったことで給与費が大きく伸びた。
 コロナ関連の補助金が段階的に縮小して最終的にはなくなる見通しのため、今後さらに厳しい病院運営が予想される。病院側は「本業部分の医業収支を改善していかなければならない」とした。協議会委員からは「補助金がなくなれば相当厳しいのではないか」「外来患者や入院患者を増やす施策を」との指摘や要望があった。
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 同病院は、新型コロナウイルス感染症が5月8日に感染症法上で季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行したことで、コロナ禍で全面禁止していた入院患者の面会の制限を緩和した。平日も休日も午後2~4時に受け付ける。面会は家族2人以内で1日1回30分以内としている。
 同病院は「引き続き感染対策をしながら患者のニーズになるべく応えられるようにしたい」としている。