2023.6.22みすず野
あすは沖縄忌。8月に原爆忌が巡りくるが、俳人・宮坂静生さんはこの用語が〈馴染めない〉と著書『ゆたかなる季語/こまやかな日本』に書いている。広島忌のほうがいい。季は夏。そして、長崎忌は秋◆掲句は〈沖縄忌はらりと沈む皿二枚〉与儀勇―ほんとうの平穏とは些細な日常がしっかりと維持されていることだと。本土の8月15日同様、78年前の6月23日は沖縄戦が終結した日。地上戦で住民約9万4000人を含む20万人以上が犠牲になった。慰霊の日。糸満市摩文仁の平和祈念公園で追悼式が行われる◆式で地元の子供が自作の「平和の詩」を朗読する。今年は17歳の高校3年生・平安名秋さんが臨む。詩に込めた思いを伝える地元紙・琉球新報の記事と、詩の全文をネットで読んだ。全戦没者の名が刻まれた摩文仁の丘の「平和の礎」を訪れ、兄の名前に触れて涙を流す祖母の姿が目に焼き付いたという◆米軍基地が集中している現状に非を鳴らす人はいても、わが都道府県へ移せとは言わないのが現実だ。沖縄忌や広島・長崎忌が歳時記に載り続けるよう、平和の詩が一人でも多くの目に触れるよう願って、これを書いた。