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安曇野市文書館5周年 収蔵拡充 明治以降の学校資料特徴 

開館以来の取り組みと収蔵資料を紹介した展示コーナー

 公文書や地域資料を収集、保存する安曇野市文書館(堀金烏川)が今年、開館5周年を迎える。3月末時点の収蔵数は、平成30年10月1日の開館時より2・5倍増え、14万6405点を数える。開館記念日に先駆けこのほど、開館以来の取り組みを振り返る企画展示を始めた。講座や講演会も催し、文書館の役割を通年で周知する。

 収蔵資料の内訳は合併前の旧5町村の行政文書など公文書が6万7231点、古文書を中心に地域資料が7万9174点に上る。市内小中学校から移管を進めた日誌など明治期以降の学校資料は、県内の市町村立文書館計7館の中でも、教育委員会が所管する同館に特徴的な収蔵資料だ。
 閲覧者数は、開設翌年度以降3年間は400人台で推移していたが、新型コロナウイルス禍からの社会経済活動再開に伴い昨年度は844人と急伸。県内外の大学から研究目的の利用申請が増えたほか「文書館の存在が知られるようになってきている」。
 企画展「残した伝えたこの5年」で、これら成果を紹介した。8月31日までを会期に収蔵資料も並べた。市域最初の広報誌で、昭和3(1928)~15年発刊の『有明村報』は、軍事色深まる時代感を映す。旧穂高中学校生徒会新聞雑誌部の昭和29~34年発行『学校新聞』は当時の学校生活の様子、生徒たちの価値観が読み取れる。
 地域史家・中島博昭さんを講師に招いた講座(5月21日)や、県公文書審議会委員などを務める瀬畑源・龍谷大准教授の講演会(6月18日)なども企画した。史料を残し活用する重要性を考える。
 再生不能となっている音声・映像資料約1500点や、民家の蔵などにあって廃棄や流出、被災の恐れがある古文書の各扱いを巡る課題もある。平沢重人館長は「課題解消のためにも、今につながる先人たちのあゆみを集約する文書館を財産、誇りとして市民に認識していただくことが重要」と周年企画の狙いを話す。