地域の話題

絶滅危惧種 アカハネバッタの標本公開 塩尻の自然博物館

アカハネバッタの標本=自然博物館提供、上。翅を広げた様子の写真を含めて標本を紹介しているコーナー=下

20230512塩尻2.jpg

 塩尻市塩尻町の小坂田公園にある市立自然博物館はこのほど、絶滅危惧種の昆虫「アカハネバッタ」の標本の公開を始めた。昭和35(1960)年に県内で採集された標本で、寄贈を受けた博物館が所蔵していた。現在では貴重な標本で「多くの人に見てもらいたい」と常設展示を決めた。

 下の翅の一部が赤いのが特徴で、平成25(2013)年と26年、半世紀ぶりに県内で生息が確認され、県版レッドリストで「絶滅」から「絶滅危惧Ⅰ類」に指定変更された。現在は県条例で捕獲・流通が制限されている。
 公開した標本は、平成9~24年に館長を務めた理学博士・小林比佐雄さん(86)=宗賀床尾=が館長時代、筑波大学名誉教授・安藤裕さん(故人)から寄贈された標本の中にあった。体長は2.5センチで、翅が広がっていないため赤い部分は見られない。採集者は安藤さん、採集地は「菅平」と記されている。
 小林さんは教員時代に1年間、安藤さんから昆虫の研究について指導を受け「博物館時代も大変お世話になった」と振り返る。寄贈を受けた標本の中にアカハネバッタがあることは知っていたといい「とても貴重なもの。こうして公開されてよかった」と喜ぶ。
 博物館は午前9時~午後4時半。月曜、祝日の翌日は休館。大人300円(中学生以下無料)。問い合わせは博物館(電話0263・53・6342)へ。