憲法記念日に平和考える 松本で講演会、安曇野で戦跡巡り

憲法記念日の3日、記念講演会「『戦争ができる国』から『戦争をする国』へ」が松本市勤労者福祉センターで開かれた。護憲派の市民団体などでつくる「本気でとめる戦争!中信市民連合」が主催。防衛庁や防衛省を29年にわたって取材する共同通信社編集局の専任編集委員・石井暁さん(61)が、戦後一貫して平和国家を歩み続けてきた日本の転換点を語り、市民ら約120人が聴講した。
石井さんは安倍政権が容認した集団的自衛権の行使と、岸田政権が認めた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有により「歴代政権が継承してきた専守防衛は完全に終わった」と語った。仮に台湾有事が発生し米国が参戦した場合、日本は自動参戦が「実質的に可能になってしまった」と言及。戦後の平和は「集団的自衛権を認めない憲法9条によって保たれてきた。国民の生命を守るため参戦しないことが肝要であり、日米同盟を守ることが自己目的化してはならない」と力を込めた。
講演後は会場を松本駅お城口広場に移し、軍備増強と平和を考える集いが開かれた。
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安曇野市の有志でつくる「平和憲法を活かす安曇野の会」は憲法記念日の3日、安曇野の戦跡巡りをした。約20人が参加し、郷土にも戦争があったことを伝える豊科地域や三郷地域の戦跡5カ所を見て回った。
車で移動し、各戦跡で市豊科郷土博物館の原明芳館長の解説を聞いた。豊科高家の正敬寺では、戦時中の金属供出によって鐘を失った鐘楼跡を見学。近くの軍馬出征記念碑も訪れ、戦地に送られた約50万頭の軍馬が一頭も帰ってこなかったことなどを学んだ。
記念碑の近くには忠魂碑も立ち、原館長は「こういう物を、戦死者の無念の死を弔っていると感じるか、戦争賛美と捉えるかは人の気持ちによる。気持ちを利用されることがあるのが怖い部分で、正確に歴史を伝えていくことが大事」と力を込めていた。
戦跡巡りは令和3年に始まり、今年で3回目。初回は穂高、第2回は堀金地域を回った。