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凍霜害に頭抱える果樹農家 増える自然災害、対策困難

花の状況を確認する農家(安曇野市三郷小倉)

 4月中の低温で発生した農産物の凍霜害で、県内有数の果物産地の松本市や安曇野市では、農家やJAが被害を最小限に抑えるための取り組みを進めている。ただ最近は、3月の高温で早く開いた花が4月の低温で被害を受けるパターンが珍しくなくなっており、抜本的な対策は難しい状況だ。

 リンゴは、大型連休明けまで結実する花が判別できないため、JA松本ハイランド(松本市)、JAあづみ(安曇野市)とも、「摘花」の時期を遅らせてなるべく多くの花を残すように指導している。松本市波田のリンゴ農家・田中知寿さん(89)の畑では、本来なら一番いい実がつく「中心果」が多く被害に遭っており「通常は摘んでしまう『側花』もできるだけ残している」と話す。
 今年のリンゴの開花は記録的に早かった。JAあづみによると、平年なら5月4日ころに満開になる主力品種・ふじの花が、2週間近くも早い4月21日に満開となった。花にとって氷点下は厳しい環境だが、4月は何度も繰り返し、氷点下6度を記録した日もあった。中村洋一果実課長は「残った花がすべて正常に結実するかもわからない。被害の全容はまだはっきりしない」とする。
 リンゴ以外の果樹の被害も少なくなく、松本市今井では、収量が例年の半分以下になると見込まれるナシ畑もあった。JA松本ハイランドの平林智幸果実課長は「ナシは平棚栽培のため被害が大きくなりやすい」と話す。
 凍霜害に加え近年は、年間を通して「ゲリラ豪雨」や「ひょう害」「ダウンバースト」などに見舞われており、関係者は「やりにくい状況になっている」と口をそろえる。安曇野市三郷小倉のリンゴ農家・中島誠二さん(48)は「努力以外のところでダメージを受けるのはつらい。今年は厳しかった一昨年と状況が似ており、心配している」と話している。