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「工芸の五月」松本で開幕 手仕事の魅力存分に

多彩な椅子に喜ぶ子供たち

 工芸や松本のまちの魅力を伝える月間イベント「工芸の五月」(実行委員会主催)が29日に始まった。5月31日までの期間中、松本市街地を中心に手仕事に親しむ企画や各ギャラリーの趣向を凝らした展示が多彩に繰り広げられる。

 市美術館(中央4)では恒例の「子ども椅子展」と、伝統的なものづくりを紹介する8年ぶりの企画展「そらまめギャラリー」が5月6日までの日程でスタートした。椅子は木工作家24人が手掛けた51脚をそろえ、伝統的なデザインのほか、揺れる構造や動物の形など遊び心を感じられる作品が充実。中庭の芝生に並べられ、子供たちが次々と座ってみたり、お気に入りを運んだりと楽しんでいた。
 そらまめギャラリーでは「木曽漆器400年の技」と題し、木曽漆器工業協同組合の作家による個性あふれる約60点を展示した。漆の採取から作品づくりまでを紹介する道具や説明書きも目を引く。
 期間中毎日実演や体験講座があり、29日と30日は漆職人・小坂進さん(67)=塩尻市木曽平沢=が竹かごに和紙を張り漆を重ねる「一閑張り」の技法などを披露。熟練の技に来館者が見入っていた。伊藤博敏・工芸の五月実行委員長(65)は「普段見ることのない裏側を含めた展示。本物の仕事や素材について知ってもらえれば」と願っていた。