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木曽町のJ-クレジット ノルディック複合五輪メダリストの渡部選手 森林づくり支援 ⅭO2排出量70㌧分購入 競技生活で温暖化実感 東京の企業も

原町長から認証書を受け取る渡部さん(右)

 国が運営する「J―クレジット」制度の認証を受け、森林整備を通じた二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの吸収量・削減量に当たる「クレジット」を創出・販売している木曽町から、ノルディックスキー男子複合の五輪メダリスト・渡部暁斗さん(34)=北安曇郡白馬村出身=と、マネジメント企業・ファーストトラック(東京都)がCO2排出量70㌧分を購入した。気候変動の影響を受けやすい雪山で活動する選手として、CO2を吸収する森林を守る木曽町を支援した形だ。

 国内外の競技活動で、温暖化による雪不足などの影響を肌で感じてきた渡部さんは、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の必要性を強く感じていた。実際に自分の排出量を試算すると、海外遠征で飛行機を多く利用することなどから日本人の平均排出量の倍近い70㌧と算出された。生まれ育った信州での取り組みを探したところ、木曽町に白羽の矢が立った。
 購入費は約100万円で「エコパートナー企業」として渡部さんの取り組みに賛同した米国の靴メーカー・オールバーズが広告を通じて援助した。今季のW杯で使用したヘッドギアに入れたロゴの広告料が全額充てられた。
 28日、町役場で購入認証書贈呈式が開かれた。原久仁男町長が渡部さんとファーストトラックに連名で木製楯の認証書を贈った。原町長は支援に感謝し「これからも山づくりに励まなければ」と述べた。渡部さんは「信州に育ててもらった。信州全体が地元で、貢献できることはうれしい」と話していた。
 式後、渡部さんら関係者3人は福島の町有林でヒノキの苗木(約1㍍)を植えた。