生坂村を脱炭素先行地域に環境省が選定 独自の送電線網構築へ

環境省は28日、全国に先駆けて令12(2030)年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを実現する「脱炭素先行地域」の第3弾として生坂村を含む全国58カ所(うち県内2件)を新たに選んだと発表した。先行地域には国が予算を重点配分し再生可能エネルギー事業などを支援する。山村地域の生坂村では防災拠点となる中心部と主要産業のブドウ農場などをつなぐ独自の送電線網「マイクログリッド」を構築。災害への適応性を高め、地域内経済循環を目指す。
第3弾の公募には全国から58件の提案があり、昨年6月にゼロカーボンシティ宣言をした生坂村も、今年2月に地元企業など5者で共同提案した。新規選定で県内は累計4件(全国62件)となり、中信地方では松本市に続き2件目となる。村が令和10年度までに計画している約20事業の総事業費は約60億円と巨額で、うち約42億円分で国の交付金を活用する見通し。6年度から順次着手していく。
マイクログリッドの構築により、ブドウ農場では散水や霜よけに必要な電力が非常時も確保でき、公共施設や民家・事業所、集落では、ソーラーパネルと蓄電池の設置で平時・非常時問わず電力が自活できる。運営母体となる地域エネルギー会社を5月中にも立ち上げたいとしている。
村はこのほか、木質バイオマスの活用や電気自動車(EV)シェアリングなども計画しており本年度中にそれぞれ制度設計を進める。村づくり推進室の藤澤友宏室長は近年の電気料金高騰を踏まえ「課題解決で村民が暮らしやすくなるための事業だ。他の中山間地域にとってもよいモデルケースとなれば」と話す。