政治・経済

塩尻市、手話通訳者・要約筆記者の技能習得に補助金

 塩尻市は本年度、聴覚障害のある人の日常を支える手話通訳者と要約筆記者を目指す市民向けに、必要経費を助成する補助金制度を創設した。昨年4月に施行した市手話言語条例に基づく施策で、経済的負担を軽減し、地域で活躍する人材を育成する狙いがある。

 手話や要約筆記の講座受講料、教材費、資格試験受験料、交通費の全てを対象にした補助金は県内初だという。
 「意思疎通支援者養成事業補助金」の名称で10万円を予算計上している。補助率は認定のための講座受講料、教材費、受験料がそれぞれ経費の2分の1で、受講や試験時の交通費が1日当たり1500円以上かかる場合に限り上限2000円で補助する。毎年3月末までに申請書など必要書類を市に提出する。
 都道府県が認定する手話通訳者になるには、市の手話通訳奉仕員養成講座を経て、県の養成講座を3年受ける必要があり、最短でも4年かかる。経費は手話通訳で10万円を超える。
 市に登録した手話通訳者は全員女性の19人で、このうち難易度が高い公的資格の手話通訳士が5人。要約筆記者は17人(男性3人)で、4人が手話通訳者と兼任する。平均年齢は60歳を超え、人員確保は課題だ。
 一方、障害者手帳を持つ聴覚障害者は100人余りいる。手話通訳者らは、通院や公官庁の申告、携帯電話の契約などの際に、必要に応じて手助けする。福祉課担当者は「若い人にも福祉の裾野を広げたい」とする。