総監督退任の串田和美さん「後任支えて」 市民芸術館の連続シンポ最終回

まつもと市民芸術館(松本市深志3)は25日、連続シンポジウム「地域における公共劇場の存在と役割」の最終回を開き、今月末で退任する総監督の串田和美さん(80)が「次に芸術監督になる人を皆で支えてあげて」と市民に託した。芸術館の今後を考える材料を退任前の置き土産に―との串田さんの意向で昨夏始まったシンポジウムは、芸術監督の必要性をあらためて確認し、閉会した。
串田さんや、旧友の座・高円寺芸術監督、佐藤信さんら5人が登壇。70人が参加した。
佐藤さんは地域の個性が重要になるこれからの社会は「地域の劇場もますます役割を持つ。だからこそ芸術監督も必要になる」と話した。歌舞伎俳優の故・中村勘三郎さんが「なぜ松本に来たか。串田さんの芸術的力量があったからだ。お金で呼ぶのとは全く違う歌舞伎が松本で実現した」とも指摘。一方、国内では芸術監督制が確立されていないとも語り、芸術監督の仕事を支え、実現させる組織や人材の必要を訴えた。
串田さんは「松本はすごい町。もっと頑張ってもっと面白いものがつくられたらすごくいい」と期待を込め、次期芸術監督を「支え、守り、市民と一緒に育てて」と願った。
芸術館では30日午後6時半から「半分寂しくて半分楽しい」(串田さん)お別れの会がある。無料。申し込みは同館(電話0263・33・2200)へ。