教育・子育て

コロナを皆で乗り越え卒業 高校3年生の思い

「高校最後の記念に顔を見せよう」とマスクを外して撮影する卒業生(松本美須々ケ丘高校)

 中信地域の高校は3日、卒業式のピークを迎えた。入学前から新型コロナウイルス禍に見舞われ、制約の中で3年間を過ごした「コロナ世代」。授業や部活動、学校行事など、思い描いた高校生活とは違う悔しさを経験したが、友達や恩師、家族とともに乗り越えてかけがえのない時を過ごしてきた。3年間を振り返る卒業生の声を集めた。

 国内でコロナが確認された令和2年。臨時休校の中で異例のスタートを切った。分散登校やリモート授業が始まっても同級生や教諭と会う機会が少なく、木曽青峰の出口遥菜さん(18)は「LINEで友達づくりをするところから始まり、どう関わっていいか不安だった。だから対面で会えた時はうれしかった」と話す。
 コロナ対策の経験を積んで迎えた2年目だったが、感染状況に応じて学校・学級閉鎖、部活動中止で足を止められた。クラスター発生を経験した明科バスケットボール部の瀧澤佑斗君(18)は「挫折しかけたけれど家族の励ましもあり、皆で乗り越えて県大会にも出場できた」と胸を張る。
 制限がある中でも工夫を凝らして文化祭に臨んだ田川の伊藤颯汰君(18)は「限られた中で最大限にやろうと皆で団結することができた」と晴れ晴れとした表情を見せる。
 松本美須々ケ丘の瀧澤新太君(18)は「悪い状況だと分かっているからこそ相手の気持ちを思いやり、協力して乗り越えられた。宝となる充実した3年間だった」と振り返る。同校では中止になった行事の代替案を教諭が提案し実現させた。3年担任の加藤慶教諭(33)は「少しでも多くの経験をしてほしかった。前例のない中で生徒も教諭も知恵を出し力を合わせた」と皆の頑張りをたたえる。
 アフターコロナで次のステージに進む卒業生。同校の守屋咲芭さん(18)は「新しい生活ではマスクを外して笑顔をたくさん見せたい」と晴れやかな表情で話した。