2023.3.23 みすず野
荒馬の轡は前から。暴れ馬への近づき方に例え、困難には正面から堂々とぶつかるのがよいということわざだ―平成26(2014)年元日付、キッセイ薬品工業の広告に教わった。えとは午だった◆その紙面に愛馬を駆る菅野小学校5年生の小林勝太君が載っている。真っすぐな瞳で「将来の夢は騎手」ときっぱり。今春デビューを果たし、中央競馬で早々に初勝利を挙げた。二十歳。高ボッチや安曇野の草競馬にも出場していたといい、記者もどこかですれ違ったかもしれない。郷土から羽ばたく若人がまた1人◆きのうの午前中は仕事にならなかった方も多いのでは。当方も原稿に向かうふりをしてテレビ中継にかじりついた。大谷翔平選手が最終回のマウンドへ。1点リードの緊迫した場面で、最後の打者を空振り三振に切って取った。ことわざを地で行く圧巻の投球は語り草となろう◆おしまいにもう一つの「1勝」を書きたかったが、かなわなかった。御嶽海関に元気がない。ついに7敗目を喫し、今場所も崖っぷちである。平成27年3月場所の初日に白星を挙げて以来399回、郷土を沸かせてきた―大台まで、あと一つが遠い。