連載・特集

2023.3.22 みすず野

 「長らくほったらかしにして、ごめん」と車庫の隅の〝相棒〟に声を掛ける。自転車通勤を再開するのに「まだ寒い」と言い訳ができない陽気となった。拾ケ堰に沿って安曇野支社まで通ったことを思えば距離も時間も5分の1だ◆タイヤに空気を入れ、チェーンに油を差す。いつもならこれで準備OKなのだが、今年はもう一つ。野球のWBC準決勝で日本がメキシコに逆転サヨナラ勝ちを収めた、きのう春分の日―ヘルメットを見に自転車店へ行った。道交法改正で4月1日から着用が努力義務になる◆これまでスポーツタイプの形状がいかめしく思われ、買うのをためらっていた。今は野球帽のようにひさしの付いたタイプもある。デザインより機能優先なのは言うまでもないが―若い人や中高年の声も取り入れ、楽しくかぶれる商品がもっと増えればと思う。出川哲朗さんのスイカヘルメットみたいに◆自転車で通う人を企業が優遇したり、その企業を行政が応援したり―走りやすいまちづくりもさらに進めてほしい。乗るほうもルールを守り、街なかに色とりどりのヘルメットの花が咲く季節となった―そんなふうに書けるといい。