政治・経済

水田の除草ロボットを開発 GPS搭載 塩尻の農業ベンチャー・ハタケホットケ

除草ロボットと、ロボットに付けるブラシを手にする日吉社長

 塩尻市大門八番町の農業ベンチャー・ハタケホットケ(日吉有為社長)は、水田の除草を担うロボットを開発し、来年度にレンタルを始める。GPS(衛星利用測位システム)を搭載し、除草作業を自動化した。複数の農家でつくるチームに有料で貸し出し、重労働から解放する。除草剤を使っている農家にも利点をアピールし、無農薬化を促進する。

 ロボットは幅77センチ、奥行き1.3メートル、高さ40センチで三つの車輪があり、前部にブラシが付く。水田の中を動くことで水が濁って草が生えにくくなるほか、小さな草も除ける。
 昨年は無線操縦型を製造し、県内10カ所で試したところ収量に問題はなかった。除草を5~7月に計10回行うと想定すると、除草機器を用いて手作業で行うと1回1時間半、期間中に計15時間かかる。無線操縦型だと1回18分で完了し、10回でも計3時間で済む。来年度に用意するGPS搭載の自動運転型だと1回6分、10回でも計1時間で済む計算だ。
 来年度は無線操縦型とGPS型を用い、計50台をレンタルする実証実験プロジェクトを行う。一定地域で複数の農家でチームを組み、使ってもらう。1人当たりの参加費は年3万~30万円となる。
 日吉社長は東京都出身で建築関連の仕事を手掛ける。令和2年に塩尻市に移住し、知人の米作りを手伝い、除草の大変さを実感した。ロボット開発を思い立ち、3年に会社を設立した。本社は起業家らの拠点スナバに置き、生産拠点は上伊那郡辰野町小野にある。
 当初は無農薬、有機農法を実践する農家を手助けしようと始めた。国が有機農業を推進し、原料価格の高騰でコスト高も見込まれる中、日吉社長は「GPSで自動化すれば『除草剤を使うより楽で費用も抑えられる』と考え、無農薬、有機農法に転換する人も増えるのでは」と見据える。生産した米の買い取りも試験的に始める。
 プロジェクトのオンライン説明会を15日午前10時半~正午と20日午後2~3時半に行う。同社のホームページから申し込める。