キッセイ文化ホール30周年で記念誌制作

松本市水汲のキッセイ文化ホールは、昨年迎えた開館30周年の記念誌作りに取り組んでいる。目玉特集の一つとして、ホールを主会場に歩みを重ねる国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル前身のサイトウ・キネン・フェスティバル松本(SKF)の草創期を支えた関係者の座談会を26日に開催。開幕までの経緯や当時の苦労、思い出などを振り返った。
元市職員で松本での音楽祭開催に尽力した赤廣三郎さん=松本市島内、市民ボランティアの組織をまとめた青山織人さん=同市平田西1、舞台スタッフだった萩原透さん=上水内郡飯綱町=が同ホールに集まった。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)元メンバーでサイトウ・キネン財団理事長の堀伝さんは都内からオンラインで参加し、金井貞徳館長が進行役を担った。
総監督の小澤征爾さんが建設中のホールを見学したエピソードや急きょの設計変更、縁とタイミングが重なり開催が実現したことなどを話し、ボランティアの運営など新しい試みの苦労にも触れた。赤廣さんは、準備期間が短い中「どうなるのか分からない状況を、何をやってもいいと逆手に取った」ことで地元を巻き込む関連事業ができたと明かした。
参加者は当初「3年か5年は続くだろうくらいに考えていた」と口をそろえ、音楽祭が根付いたことに感慨を深めていた。ホールについては、堀さんが「オケにとって非常に大事な場所」と実感を込め、青山さんは「SKOの音が染みついている」として音楽祭の会場ということに付加価値があるとした。
記念誌には、ホールの歩みや自主事業、コロナ禍の文化発信の取り組みなども盛り込み、7月の発行を予定している。