手仕事の魅力たっぷりと 松本で「工芸の五月」開幕

松本のまちと手仕事に親しむ月間イベント「工芸の五月」(実行委員会主催)が29日、開幕した。5月末までの期間中、ギャラリーや美術館、資料館などで多彩な企画を用意。作家の個性や技術の詰まった作品に接し、工芸を身近に感じる機会となる。
松本市美術館ではこの日、6日までの日程で異形の宴「あそび心の蒔絵」が始まった。漆芸家・故若宮隆志さんが立ち上げた石川県輪島市の漆芸集団「彦十蒔絵」(高禎蓮代表)が作品約50点を展示。分業制でそれぞれの職人の技術を生かし制作した。
本物そっくりなカブトムシは精巧な作りと仕掛けに驚きの声が上がった。たい焼き、工具箱のほかスイカに包丁で切れ目を入れる場面を表した作品もある。
震災と水害で被災した中、活動してきた。今年2月に61歳で亡くなった若宮さんが制作を統括した漆芸額と茶道具の棗があり、震災前の滑らかな瓦を漆芸額に、傷んだ瓦を棗の絵柄にそれぞれ表した。
来場した愛知県尾張旭市の会社員・藤沼胡桃さん(23)は「(カブトムシを模した作品は)すごく軽かった。中身まで凝っていてすごい」と目を見張った。高代表は「先入観を持たずに、どういう所に遊び心があるか見てほしい」と話した。
松本市中央2の信毎メディアガーデンでは「はぐくむ工芸子ども椅子展」が5月6日まで開かれている。約90点あり、子供たちが気に入った椅子を見つけて触ったり座ったりしている。5月8日から27日まではグレイン・ノート(松本市中央3)で子ども椅子展を行う。