カインズ塩尻店・保護猫譲渡会で成果 塩尻市、環境団体「マーマレードキャット」と連携

大手小売業・カインズ(本社・埼玉県)と塩尻市、猫に起因するご近所トラブルを解決支援する環境団体「マーマレードキャット」が連携して月1回、塩尻市広丘高出のカインズ塩尻店(山下理孝店長)で、保護猫の譲渡会を開いている。飼い主のいない不幸な猫を減らして住環境を守るという地域の環境課題の解決に向け、昨年7月に始まった。毎回大勢が来場し、もらい手が高確率で決まるなど成果も上げている。
毎月第1日曜日の午前11時~午後1時、店内に特設会場ができる。7回目となる1日の譲渡会は、ケージに入った22匹の保護猫が並び、夫婦や家族連れが次々と訪れ、もらい手の希望は14件あった。猫2匹を飼育し、今回もらい手を希望した大工・下本晴夫さん(56)=松本市和田=は「こういう機会があれば、もらい手ができるのでは」と話した。
カインズは、地域と協力してまちづくりをする「くみまち構想」として譲渡会を開く。保護猫活動に熱心な従業員のいる塩尻店が提案し、県内のカインズ店舗では唯一の実施だ。1回の譲渡会で10匹前後のもらい手が決まり、成約率100%の会もあった。店内に保護猫情報を発信するコーナーや保護猫団体向けにペット用品の寄付を募る応援箱も置かれた。
譲渡会の定期開催により、会場で相談に応じているマーマレードキャットの小口美智子代表(62)は「譲渡数や(猫の)預かりボランティアも増えた。皆さんの協力で助けられている」と感謝していた。
市では令和4年度に猫の不妊・去勢手術費の補助金制度(雌1匹5000円、雄1匹2000円)を設けた。手術を前提に捕獲器の貸し出しも行う。本年度は46万円余の予算を計上、1月末時点で雌29匹、雄26匹の計55匹に対応した。
登録制ではない猫の市内の頭数は正確には把握できないというが、放置によるふん尿被害や計画性のない繁殖の増加の苦情が市にも寄せられる。生活環境課の中嶌剛司係長は「殺処分ではなく責任ある行動で猫をかわいがって」と願っている。