政治・経済

安曇野市のオンデマンド交通あづみん 昨年度の利用者は過去最多 週末も運行 平日は利用過多

豊科の商業施設前で予約客を乗せるあづみんの車両(20日)

  希望する目的地までドア・ツー・ドア方式で乗り合いで人を運ぶ安曇野市のオンデマンド交通「あづみん・のるーと安曇野」の昨年度の利用者数は、前年度比13・5%増の9万8047人で過去最多を更新した。運行日に土・日曜と祝日を加え、約1万1800人増えたのが要因だ。一方、平日は需要過多で高止まりの状況が続いており、あづみんに過度に依存しない交通体系を考える必要に迫られている。

 あづみんは、市が事務局を担う市地域公共交通協議会が運行主体。年間利用者数の増加は新型コロナウイルス禍で減った令和2年度から4年連続で、ピークだった平成24(2012)年度の9万1597人を超えた。
 昨年度の利用者から休日分の1万1823人を除くと約8万6200人で、平日のみだった前年度からほぼ横ばい。市政策経営課は「一定の移動ニーズを新たに獲得し、休日分が純増した」とみる。
 あづみんは16台の車両を7系統に分けて運行する。利用目的は高齢者の買い物や通院、障害者施設への通所が多い。アプリやキャッシュレス決済を導入し利便性を高めている一方、平日は朝夕や正午前後に需要が集中し、やむなく予約を断る件数が多い日で30~40件に上る。
 市によると、利用者同士で希望を調整すれば運行効率を高める余地ができるが、個々の希望を優先して最適な乗車条件を設定するAI(人工知能)を活用する現行システムでは容易ではない。台数を増やすのもドライバーの人手不足で難しいという。
 政策経営課の担当者は「毎日利用する人もいれば年1回の人もいる。デマンド交通一択で全ての移動ニーズを賄い切ることはできない」と話す。同協議会は今後の利用状況を注視しつつ、デマンド交通を軸に他の移動手段の選択肢も含めた交通ネットワークのあり方を研究する方針だ。