2025.5.22 みすず野
鶏卵はパック詰めで売られる以前、もみ殻の中に埋めて店頭に並んでいた記憶がある。きょうは5月を「たま(0)ご(5)」、22日を「ニワトリ(2)ニワトリ(2)」などと読む語呂合わせで「たまご料理の日」だそうだ◆最も単純な卵かけご飯の食べ方は二つに大別できると演芸・演劇評論家の矢野誠一さんはいう。句友だった落語家の入船亭扇橋、柳家小三治両師匠を例に挙げる。扇橋型は容器に卵2個を落としてしょう油を加えかきまぜてからご飯にかける。小三治型はご飯の上に落とした2個の卵にしょう油を加え、箸でほぐしてすぐ口に運ぶ。それだけ◆だが卵かけご飯は「この国以外の米を食する地域の人たちは一切口にしないというのが妙だ」(『たまごだいすき』中公文庫)と。「生命を宿したものは生で食べてはならぬという考えが根づいているのかもしれない」と考える。それは「嗜好の問題というより、思想の問題とするべきだろうか」と結ぶ◆小三治さんは落語に入る前に語るまくらの面白さで知られた。それだけを収録したCDもある。子どもの頃の思い出などを語った「玉子かけ御飯」はそのうちの1枚だ。