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元鷹匠 愛鳥譲ります 明科の江口さんが病気で引退 ハリスホーク手放す決断

江口さんとハリスホーク

 安曇野市明科中川手の元鷹匠・江口聡哉さん(65)が、飼育しているタカの仲間・ハリスホーク(モモアカノスリ、雌・4歳)の譲り先を探している。5年ほど前に「血液のがん」と言われる多発性骨髄腫と診断され、いつ急性化して命に関わる状態になるか分からない中、責任を持って飼ってくれる人に譲りたいと考えた。調教に使う道具類や資材も含めて無償で譲る。

 江口さんは勤め先の同僚が渡り鳥の調査委託員をしていた縁で20代終盤でタカと出合った。鷹匠の技能を学んで飼育や調教、鷹狩りに携わり、弱って一時的に保護されたタカ類を調教して野生に戻す活動もしてきた。
 これまで調教してきた鳥は、ワシノスリ、オオタカ、レッドテールホーク、チョウゲンボウ、メンフクロウなど約25羽になるという。
 昨年には、JR明科駅周辺に大群で飛来するカラスを天敵効果で追い払うため、調教したヨーロッパノスリを飛ばしたり腕に留まらせたまま歩く「据え回し」をしたりと、ボランティアで3カ月半ほど活動した。江口さんは「1000羽以上いたカラスが半年ほど前から1羽も来なくなった」と胸を張る。
 ハリスホークは「空飛ぶ犬」と呼ばれるほど人に慣れ、飼育しやすいのが特徴。これから調教しようと考えていたが、病気の影響で体の痛みやだるさがあって気力も衰えた。江口さんは「長期入院や寝たきりになるかもしれない。(ハリスホークは)少なくとも15年間は生きる。自分に何かあった場合は責任が取れない」と愛鳥を手放す決意をした。
 餌はヒヨコやウズラで、精肉だと長生きできないという。希望に応じて調教の仕方も手ほどきする。江口さんは「最低限の餌と飼育環境を整えてくれる人に譲りたい。腕に据えて散歩するなど観賞用として飼うこともできる」としている。
 問い合わせは江口さん(電話070・8390・6163)へ。