連載・特集

2025.2.22 みすず野

 桜の花見の前に「梅見」はどうですか―。日々の暮らしに、アクセントを加えるアイデアが載る書籍に提案されていた。「奈良時代の花見といえば、桜ではなく梅でした」とも。その根拠として奈良時代末期の成立とされる日本最古の和歌集『万葉集』に、梅を詠んだ歌は120首ほどあるのに対して、桜の歌は50首足らず│と記す◆自宅の裏庭に樹齢30年以上の立派な梅の木がある。建物の陰に立つためか、近所のものより遅めだが、それでも毎年白いかれんな花を咲かせ、目を楽しませてくれる。花を見ると木を植えたであろう、今はなき祖母の姿がまぶたの裏に浮かぶ◆梅は花だけでなく、実が採れるのも楽しみ。いつも自然落果させて放置しているが、以前は梅酒や梅漬けを作ったこともある。家人の手作りは、やはりおいしい◆松本城公園の梅園の様子を見に行ってみた。ほとんどが、まだ堅いつぼみだったが、なかには先が花びら色したものも。松本城管理課によると、近年は令和4年以外、2月中旬には開花していたが、今年は遅れ気味。開花すれば、例年3月中旬までが見頃になるという。めでに出掛け、香りも楽しみたい。