2025.5.20 みすず野
新聞紙面には毎日、写真が何枚も載る。きょうは「投稿フォトプラザ」もある。写真を見るとき、何をどのように見ているかという研究を宇宙物理学者の池内了さんが『科学メガネ読本』(アノニマ・スタジオ)で紹介している◆知人や動物が写っていれば、それらに注目する。あまり関係ない写真はどこに目が行くか。研究者は、米国の大学院生、中国からの留学生を対象に、36枚の写真を見せ目の動きを調べた。写真の前景には虎がこちらを見ていて背景には荒れた林がある◆米国の学生は虎に注目。留学生は虎を見てから林に視線を長く留めた。西洋の人間は個々の具体的な対象に興味を持ち、東洋は全体を捉えそれらの関係性を見いだそうとしているのではないかと研究者は述べる。例証として西洋と東洋の絵画の目の付け所を挙げる◆池内さんはその根源が「個性を尊重する西洋に対して、集団としての調和や釣り合いに重きを置く東洋という、個人を捉える意識の違い」というのは言い過ぎかと語る。それを意識し「互いの長所や短所、強みや弱点を補い合うようにすれば、世界はもっと平和になるのでは」という指摘は示唆に富む。